⇒HCG注射の基本概要
⇒HCGとは?
⇒排卵の誘発と黄体ホルモンの補充が目的
⇒妊娠検査薬の陽性反応と残存期間について
⇒OHSSの主な症状
⇒OHSSは10代~20代に多く発症する傾向にある
⇒OHSSを改善する為のポイント
⇒腹水・胸水の有無について
HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とは、妊娠が成功すると急速に分泌される糖タンパク質のことです。
ヒト絨毛性ゴナドトロピンたんぱく質を構成するアミノ酸分子は237個のアミノ酸分子であると言われております。
※HCG=Human chorionic gonadotropin
HCGは、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があり、HCG療法ではこれらの働きに着目し治療を行います。
しかしHCGは卵胞に直接作用する事から、女性特有の体調の不良を感じたり、OHSS症候群と呼ばれる症状を発症するケースも確認されております。
HCG療法を行う際は、事前に正しい副作用症状を認識しておく事が最も大切です。
HCGは「アミノ酸分子」から構成される糖たんぱく質でできております。
妊娠時には子宮内に「胎盤」が生成されます。
この胎盤から抽出された「性腺刺激ホルモン」と呼ばれるホルモンがHCGの正体です。
HCGは、前項で解説したとおり胎盤で生成されます。
このHCGを使用する治療の目的は大きくわけると2つあり、「排卵の誘発」と「黄体ホルモンの補充」の2点の目的で使用されるケースが大半です。
※HCG注射は基本的に排卵の誘発と黄体ホルモンの補充が目的として行われる注射である
不妊治療では、不妊の要因を見極めることが最も大切であり、難しい点でもあります。
排卵が正常に機能していないと判断されるケースでは排卵を誘発させ妊娠の可能性を高める目的で使用されます。
また不妊の要因が「黄体機能不全」などの黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌に原因があると考えられるケースでは、黄体ホルモンの補充を行い「妊娠の継続」を計ります。
妊娠検査薬の大半は、体内のHCGに反応する事で妊娠の有無を示します。
その為、HCG注射を行った直後に妊娠検査薬を使用すると、妊娠の有無に関わらず「陽性反応」を示します。
HCG注射によって補充されたHCGが体内に残存する期間は個人差が非常に大きく一概には言えません。
一般的な見解としては以下の期間を残存期間の目安として考えていきます。
HCGの残存期間の目安 | |
---|---|
単位 | 残存期間 |
5000単位 | 1週間程度 |
10000単位 | 2週間程度 |
ですから、妊娠検査薬を複数回使用し、反応が薄くなっていくのではなく、徐々に陽性反応が濃くなるようであれば妊娠の成立の可能性が高いと言えます。
HCG注射、及びHCG療法の最大の問題点として「OHSS」と呼ばれる副作用症状の発症があげられます。
※OHSS=卵巣過剰刺激症候群
卵巣過剰刺激症候群とは、その名のとおり卵胞が過剰に刺激される副作用のことで、幾つかの独特の症状を発症する可能性があることも確認されつつあります。
【OHSSの主な症状】
☆腹痛
☆腰痛
☆急激な体重増加
☆吐き気症状
☆尿量減少(乏尿)
☆下痢
☆胸水・腹水
などの症状を発症するケースが確認されております。
OHSSは頻繁に発症する副作用症状でもあるので、上記症状に類似する症状を確認した場合は、すみやかに医師の診察を仰ぐ事が重要です。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)はその名の通りHCG注射などによって排卵誘発を行った際に過剰に卵胞が刺激されることによって発症する症候群です。
HCGはヒト絨毛性ゴナドトロピンとも呼びますが、ゴナドトロピン療法の合併症のひとつであるとも言えます。
その為、HCG注射を使用する際は、事前にこのOHSS症状の危険性・リスクについての正しい理解が必要となります。
尚、OHSS症候群は、統計的データから比較的発症しやすい傾向や特徴も確認されてきております。
特に、年代別では10代~20代の女性に多く発症することもわかってきております。
※OHSSは10代~20代に多く発症する傾向にある
これは、10代・20代はホルモンの分泌が活発であり、排卵誘発作用が強く働く可能性があるためと考えられております。
また、体系的には「痩せ型」の人に発症傾向が高く「多嚢胞性卵巣症候群患者の場合は、更に発症リスクが高まる傾向にあります。
OHSSは症状の度合いによって「軽症」・「中等症」・「重症」と分類されています。
重症の場合は、腹水などを抽出する治療などが必要となりますが、OHSSの治療の基本は自然療法です。
自然療法とは、薬物および注射の投与を一時中断し、経過を観察しながら自然治癒力の力で自然に治療を行う治療法とされております。
まず何よりも人体への負担をこれ以上かけない。そして「症状の悪化」を防止する。
この2点が治療の基本となってくる為、絶対安静が求められます。
HCG注射を使用中にOHSS症状の可能性が検討される場合はすみやかに医師へ相談することが大切です。
HCG注射の副作用症状で最大限に注意すべき点はやはりOHSS症候群の発症の可能性です。
中でもOHSS症候群の症状で最も危険性の高い症状は「腹水」や「胸水」の発症の有無がポイントとしてあげられます。
HCG注射による不妊治療や補充療法を行う際はOHSSに関する知識を必ず身につけておきたいものです。